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風情が無くなった今日この頃

 皆さんこんにちは。私の本は皆さんに行き渡りましたか?しっかりとお読み頂きましたでしょうか?出版社より受け取りました1000冊の全てにサインをしてお配り致しました。皆さんの読後の感想をお聞かせ頂けたら嬉しく思います。風情という言葉を表題に使っていますが、フゼイと読みます。若い方の間では中々使われなくなった言葉ではないでしょうか。この言葉は我が国に古来からある美意識です。春は桜、夏は蝉、秋は紅葉、冬は雪と四季豊かであった時代におりなしていた季節感の中に感じる儚さや質素なもの、趣や情緒を見つけ心で感じ味わう事を風情豊かと申していました。「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる」 百人一首に歌われている作品です。


 この歌は立秋の日に読まれた歌なんです。季節感豊かな時代には我々の御先祖様方は季節を24に分けておりました。夏至と冬至の「二至」、春分と秋分の「二分」そしてそれぞれの中間に存在する立春、立夏、立秋、立冬の「四立」。これらを合わせて「八節」と呼び季節を区分する言葉として重要な役割を果たしていました。その中の立秋とは今年で言えば八月七日でした。まさに猛暑日の真最中でしたね。この時期に秋の気配を感じるどころか十月の声を聞くのにまだまだ暑い日が続いています。先の歌にある立秋の日に秋を感じる様な風がそよかにでも吹いてくれると嬉しいですね。この様な季節感の変化は私達の心身にも大きな影響を与えています。テクノロジーの急速な進化に大多数の人々がついて行けなくなっています。巷に言われている少数のAIを支配する人と大多数の支配される人の二極化の世界になってしまうのか?節感の変化と共に我々の人生観にも大きな影響を与えている現状を私は世の中に風情が無くなってしまったと痛感しているのです。今回出版した本にはかっては豊かに存在し我々の世代を風情に溢れる人格に育ててくれた土壌も感じ取って頂けたら幸いです。近しい人の何人かは、読後は勿論途中でも涙が溢れてきたとの感想を頂いています。テーマは後継者と言う事で会社の継続をメインにしていますが、この原稿を書いているうちにこのテーマより風情豊かな時代の再現を心の底では願っていたのではなかろうかと気付きました。感動の涙を流して頂いた方もそこに共感されていたのではと密かに感じいっています。「秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる」。

 皆さんお健やかに秋をお迎え下さい。会長の想いでした。